活動報告:自主・連携事業

NPOリーダーのためのリトリート研修 in 安比
(第18回 支援者のための心のリフレッシュプログラム)

■日程:2020年9月24日(木)~26日(土) 2泊3日
■場所:ホテル安比グランド(岩手県八幡平市)
■参加者:9名(9団体)

プログラム

1日目

リラックスタイム1(近隣散策)
イントロダクション1(自分との出会い①)
イントロダクション2(シェアリングワークショップ)

2日目

「ブナの森」ネイチャーウォーク
セルフケア(呼吸法)
ワークショップ(自分との出会い②)

3日目

リラックスタイム2(フリータイム)
レクチャー(リーダーシップとは)
まとめ

その他、カウンセリング(希望者のみ)、オンライン懇親会など

活動報告

新型コロナウイルス感染拡大が収束する状況が見えないこともあり、開催するかしないかとかなり悩みましたが、コロナ禍だからこそこのプログラムが必要ではないかという声も多く聞かれました。東北屈指のリゾート地でもある安比高原の自然に囲まれた環境で「こころとからだのリフレッシュとケア方法を知ること」は、身体の免疫力をあげるためにも重要なことなどから予定通り開催することにしました。ただし、タケダ・いのちとくらし再生プログラムで策定した「新型コロナウイルス感染予防ガイドライン」に基づいて企画運営しました。
少人数で予防ガイドラインに沿って開催するとはいえ、移動のリスクや感染予防の観点から参加者はいつもより少なくなると想定していましたが、昨年と同規模の9名が参加しました。また参加者のうち7名が初参加でした。

開催18回目を迎えるこのプログラムでは、自然と交わり、自分を大切にする時間を持つことを大事にしています。そのためすべてのプログラムは選択制であり、参加しないでもよいという選択もできるというのが特徴のひとつです。さらにプログラム期間中は「所属団体や肩書には触れず、自分が呼ばれたい名前」を決めて、それで呼び合うというルールがあります。
今回のテーマを「自分との出会い」と設定してプログラムをもちました。

集合時は、少し緊張していた参加者ですが、自己紹介(所属団体・肩書・本名は言わない)後、自然散策をしながら近くの牧場カフェに行きました。牧場ならではの乳製品をオヤツで堪能し、その後芝生広場のウッドデッキで「大の字」になりながら空を見上げて少しゆったりとした時間を過ごしました。
会場に戻ってからは、東京とオンラインでつないで社会福祉法人興望館の大江さまに阪神淡路大震災で経験されたお話やストレスケアの重要性についてお話いただき、参加者でシェアリング(共有)の時間を持ちました。

1日目の振り返りでは「支援する側は仕事の完遂を重視するあまり、自己の肉体的・精神的な状態を客観視することができず、その結果、支援の継続が困難となる。だからこそ、持続可能な支援の為には、支援する側も支援されることが重要なことだと理解できた。」「震災から9年半がたった今だから、「日常と非日常は地続き」という話に納得感があった。非日常のある意味”わかりやすい”変化やストレスにばかり目を向けていたが、世の中にはもっとわかりにくい常在的な苦しさや喪失がある。」などのコメントがありました。

2日目は、日本森林浴の森100選の一つにも選ばれている「安比高原 ブナの二次林」でネイチャーウォークに行きました。「ブナの二次林」とは、ブナの森を伐採したあと自然の力で見事に再生したブナの林のことを言います。少し肌寒く雨がいつ降るかわからない状況でしたが、ブナ林にはいると冷たく感じていた風もおさまりました。また途中から雨が降り出しましたが、ブナ林にいると傘も差さないでも歩けるほどでした。雨の時しか見ることのできない「樹幹流」をみることもできました。ブナは降雨時に水を集めるような形になっていて、雨が降るとブナの幹に勢いよく雨水が集まって地面まで川のようにキレイに流れていきます。それを「樹幹流」というそうです。通常なら雨が降ったらネイチャーウォークは中止になるかもしれませんが、ブナ林の場合は「雨だからこそみられるものや、雨だからこそ経験できること」がたくさんあり、マイナスイオンをたっぷりあびながら貴重な体験をしました。

午後は、個人ワークとして、コラージュや塗り絵(切り貼り絵)の時間をとりました。参加者は一人で黙々と作業をすることで、自分の世界にはいり自分だけの空間を楽しんでいました。

2日目の振り返りでは、「午前中のネイチャーガイドさんのインタープリテーションが素晴らしく良かったです。参加者がワクワクし、興味を持って森を歩くことが出来ました。日頃、忙しい中にも休息を作り自分を癒す事で、良い活動の継続に繋がると感じました。」「ワークショップ『コラージュ』を通して、ぬり絵や切り貼りで自分を表現することが出来た。初めは自分と出会えるか不安だったが、制作していく中で不思議とこの絵が自分ではないかと気づいたのが面白かった。」などのコメントがありました。

最終日は、あいにく天気があまりよくなかったのですが、午前中は個人でリラックスする時間をしっかりもち、午後は中谷先生(臨床心理学博士)から「リーダーシップとは何か」を学んでから、最後の振り返りをしました。

最終日の振り返りでは、「とても良いリフレッシュとなりました。おいしい食事、素晴らしい露天風呂、ブナの森…。ほしかった「ひとりの時間」も得られ、参加して本当に良かったです。」「今後のあり方を考えるよい機会となりました。自分自身を大事にすることも大切(そうでないと、人のことも大切にできない)と実感しつつ、同じように自分の団体で働くスタッフを大事にしたいと思います。」などのコメントがありました。

東日本大震災復興支援を行っている現地NPOの方々は、住民ひとりひとりに寄り添った活動をしていますが、実は自分の気持ちを後回しにしがちであり、自身も気づかないうちに、ある日バーンアウトしてしまうことがあるといわれています。
被災者の心のケアの重要性にくらべ、支援者が心の健康を保つことの重要性は、まだまだ十分に認識されていません。少しでもこのような取り組みが、支援者のメンタルヘルスケアの必要性が認識される一助になってほしいと願っています。

*このプログラムは、プログラムパートナーの公益財団法人 日本YMCA同盟と帝京平成大学の中谷名誉教授(臨床心理学博士)の協力を得て実施しています。

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