活動報告:自主・連携事業

とうほくNPOフォーラムin南相馬2020

  • 日時:2021年5月26日(水)11:00~18:00
  • 会場:ZOOMウェビナーによる配信
  • 後援:南相馬市・岩手県・宮城県・福島県・復興庁・内閣府
  • 協力:武田薬品工業株式会社
  • 主催:《NPOサポートリンク》とうほくNPOフォーラムin南相馬2020 実行委員会
  • 参加人数:112名

開催趣旨

東日本大震災発災から8年が過ぎ、被災各地ではハード面の復旧が一定程度進み、目に見える部分では復興が進んでいると言える状況です。

しかし、被災者の生活復興や地域の再生というソフト面においては、今尚その道のりは長い、という実感がある事もまた現状です。

昨年開催した「とうほくNPOフォーラムin陸前高田2019」では、「持続可能な地域の仕組み -NPOに期待される役割とは何か?-」というテーマを設定し、「地域における多様な担い手が、主体性を持って地域の将来を考えること。地域に必要な事を形にするために目線を合わせて議論し協働する事が重要」というまとめを行いました。

このまとめを受けて、今年は「復興の先を見据えて《変化する社会にNPOはどう対応するのか》」というテーマを掲げました。NPOだけでなく、市民、企業、行政を含む、地域の多様な担い手の役割についても考える場として、本フォーラムを実施します。

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実施概要

【開催報告】《基調講演》 復興のプロセスから見た地域の未来

講演 元復興庁事務次官 岡本全勝氏

元復興庁事務次官の岡本全勝さんをお招きし、「復興のプロセスから見た地域の未来」をテーマにお話いただきました。

講演の話題
  1. 大震災でのNPOの活躍の振り返り
  2. 大震災での非営利活動の認知度が上がったこと、世間での評価が上がったこと
  3. 今後、NPOに期待すること、欠けている点、お願いしたい分野

NPO等による支援活動の例
復興庁の職員と一緒にまとめたNPOによる東日本大震災への支援活動の例があります。活動分野として「まちづくり」「なりわいと雇用」「生活支援」「団体支援」に分けました。

  • 見守り活動:仮設住宅で孤立、孤独死が生じないように。
  • 避難者への仲介:原発被災地で遠くへ逃げた人たちをはじめ住民への情報提供。
  • 心のケア:健康管理の特殊な分野として。
  • 子育て支援:仮設住宅や避難所における遊び場所と勉強場所などの子供の居場所づくり。
  • 障害者の支援:町から離れた高台にある仮設住宅への移動、病院や買い物支援等。

市町村役場あるいは復興庁は、他に優先的なことが沢山あり手が回らない、気づいていない、気づいても人がいない、それに経験・技術が無かったものにNPOが対応してくれました。例えば、仮設住宅の見回りでは、市町村役場と保健師さんと一緒にするのが一番ですが、そこまで手が回らないため、NPOにお願いしました。

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【開催報告】Section 1 《NPOと地縁組織》出会って変わったこと、変わらなかったこと

登壇者
  • 一般社団法人日本カーシェアリング協会コミュニティ・サポート事業部 事業部長 平塚勇気氏
  • 宮城県南三陸町入谷地区林際カーシェア会事務局長 菅原辰雄氏
コーディネーター
  • 一般社団法人東北圏地域づくりコンソーシアム事務局長 髙田篤氏

Section1では、震災をきっかけに変化してきたNPOと地縁組織の関係について考える事例として、南三陸町の林際カーシェア会をとりあげ、NPOと地縁組織の協働のあり方を中心に話をつめていきました。

平塚さんは、県外を含め20地域に及ぶ地域でカーシェアを利用したコミュニティづくりに取り組んでいます。「地域の方たちが定期的に開催する《おちゃっこ》では地域にあったルールづくりや役割を決めます。少しずつ変えながら持続できる体制にしますが、私は背中を少し押しているだけ。手助けし過ぎない事が肝だとわかり、この活動で自分自身が変わった」と、お話しいただきました。

これに対して菅原さんからは、「自分の考えが一番変わった。自分が一翼を担えば出来る!ってね」とお話しいただきました。「まずは自分がやろうと思う事が大事ですが、自分が思う事と相手が思う事は違うし、思いにも温度差があります、相手の身になって喋り、普段やっていることにチョッと加えれば人の役に立ちます」、とお話しいただきました。

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【開催報告】Section 2 《NPOと行政》関わりをどう活かすか ~役割と可能性~

登壇者
  • 一般社団法人イシノマキ・ファーム代表理事 高橋由佳氏 
  • 南相馬市長 門馬和夫氏 
コーディネーター
  • 特定非営利活動法人茨城NPOセンターコモンズ代表理事  横田能洋氏 

セクション2では、「NPOと行政-関わりをどう活かすか~役割と可能性」をテーマに、地域特有の様々な課題解決にNPOが、行政がそれぞれの立場でどのように取り組み、また、これからの新たな関わり方について考える機会となりました。

高橋由佳さんは、宮城県石巻市で農を通じた共生社会の実現と若者の雇用創出(コミュニティづくり)に取り組んでいます。高齢化等の人材の課題、耕作放棄等の農地の課題などの地域の現状と実態を把握し、浮き彫りになった課題解決に向けて石巻市に提案し、課題の共有を図ることで石巻市の施策や事業に繋がっている関係性について、具体的にお話いただきました。

門馬市長からは、南相馬市の概要、震災前後のことも含めて紹介いただきました。この10年で約13,000人減少し、人口減少が大きな課題のひとつとのこと。震災時のNPOによる様々な支援活動からフェーズがかわり、これからのまちづくりをすすめていく上で、NPOとの新しい協働のかたちが必要と考えるということで、「まちづくり活動支援事業」「まちづくり市民活動団体支援事業」など説明をいただきました。

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【開催報告】Section 3 《NPOと地域》 持続的な協働をめざして

登壇者
  • こども∞感ぱにー代表理事 田中 雅子 氏 
  • 岩手県立大学社会福祉学部社会福祉学科准教授 菅野 道生氏 
コーディネーター
  • 気仙沼まち大学運営協議会 (フォーラム実行委員) 佐藤 賢

セクション3では、「NPOと地域-持続的な協働を目指して-」をテーマに、課題解決に必要な主体と役割は何かを探り、この先の地域のあり方を考えました。

田中雅子さんは、東日本大震災を機に宮城県石巻市入りし、津浪で失われた子どもの遊び場・居場所づくりを行ってきました。現在、課題が子どもの居場所の少なさ、不登校の増加、学校と地域の関係の希薄さなどから生じる社会課題に変化しています。これらを解決するには、単独の取り組みだけで対応することは困難と考え、子どもを軸に地域コミュニティの再構築を目指すため、つなぎ役となってネットワーク組織を設立しました。皆で合言葉(共通認識)を作り可視化することで、目標がぶれることなく官民が一体となり課題解決に取り組んでいるお話をいただきました。

菅野道生さんからは地域協働に必要となる要素のお話をいただきました。協働の前提となるのは、セクター間に日常的関係性があるかどうかで、その関わりを強め課題解決に向けて業務や立場を取り払って関われるように環境づくりを行う「ネットワーカー(つなぎ役)」の存在が重要であること、そして、地域課題解決の取り組みには、組織間だけでなく住民=個人がパートナーとして関わっていること大切であり、初めから同じ負担で関わることを求めず、関与のグラデーション(段階・濃淡)を用意しておくことが必要であるというお話をいただきました。

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【開催報告】Section 4 《クロージング》連携の先に期待するもの

登壇者
  • 武田薬品工業株式会社 グローバルコーポレートアフェアーズ グローバルCSR&パートナーシップストラテジー ジャパンCSRヘッド 吹田博史氏 
  • 特定非営利活動法人日本NPOセンター 常務理事 田尻佳史

クロージングでは基調講演から各セクションを振り返りながら、企業の視点についてお話をいただきました。

NPOの役割
吹 田:基調講演では、企業はNPOとつながることで社会課題が知ることができ、それらを解決するために、企業とNPOとの協働がより重要になるということが述べられました。今後、企業とNPOとの連携はますます進むものと思いました。

田 尻:NPOには、社会課題とつなぐこと、行政や企業ができない隙間を埋めることの2つの役割がありますね。

NPOと企業からの発信で信頼を生む
吹 田:分科会Cからは、NPOと連携した企業が情報を発信することによって、課題解決に取り組むNPOの存在が明らかになること、また、そういったNPOとつながりたいという企業ニーズの創出も期待できることがわかりました。さらに、企業が社内で発信することによって、ボランティアとしてNPO活動に参加したいという従業員が出てくるのではないかと思いました。

田 尻:信頼獲得のためにNPOは事業や会計報告といった情報開示だけでなく、パートナーの名前も発信することも大事。企業の信頼が団体の信頼につながります。「この企業とパートナーとしてやれているのであれば我々とも」という新たな連携を生み出す可能性もあります。さらに企業から発信してもらえると企業と連携した組織であると認めてもらえるし、従業員や関係者など企業でいうステークホルダーにも認めてもらえるということですね。

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メディア掲載
福島民報(2021年5月27日付掲載:PDFファイル0.6M)

 

復興へ役割など探る~オンラインで意見交換~

御礼

この度は「とうほくNPOフォーラムin南相馬2020」にご参加いただき誠にありがとうございました。本フォーラムは2018年度宮城県気仙沼市、2019年度岩手県陸前高田市に続き3回目の開催となります。2020年度は福島県南相馬市にて開催を予定しておりましたがコロナ禍の状況により現地に集合する事を断念し完全オンラインでの開催とさせていただきました。不慣れなためご迷惑をおかけする場面もございましたが、実行委員、登壇者のみなさまと共に一丸となって準備を進め無事に開催する事が出来ました。

今後もみなさまからいただきました貴重なご意見やメッセージを励みに活動を継続できる様、努めたいと思います。

とうほくNPOフォーラムin南相馬2020実行委員会一同

 

 

 

本フォーラムは、東北沿岸地域の中間支援組織が構成する「NPOサポートリンク」のネットワークによる事業の一環として開催されました。

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