活動報告:助成事業
双葉町民の憩いの場、絆カフェ「せんだん広場」 双葉町県中地区借上げ住宅自治会
2013年5月にオープンした絆カフェ「せんだん広場」。木造平屋建約80平米の広さで、多目的の集会室や喫茶コーナーがある。場所は郡山市中心部から車で15分ほどの郊外、郡山市御前南2丁目73。駐車スペースもゆったりとある。
開所式は、双葉町の伊澤町長や町議会議員をはじめとする多くの方がたの参加もあって、双葉町民の憩いと交流の場「せんだん広場」に寄せる期待などを語りあう盛大な式典となった。開所式にはマスコミの取材もあり、その模様は新聞やテレビなどで大きく報道された。
なお、絆カフェ「せんだん広場」の名称は「栴檀(せんだん)は双葉より芳し」いう格言から来ている。
双葉町県中地区借上げ住宅自治会は、郡山市に避難し借上げ住宅(みなし仮設住宅)に居住する人たち7名が2012年1月に立ち上げた。その背景には、バラバラに居住する借上げ住宅には、仮設住宅とは異なり、町や県からの情報がなかなか届かないとか、支援物資も行き渡ってこないなどの事情があった。郡山市やその近隣をカバーする県中地区借上げ住宅自治会は、県内の借上げ住宅避難住民では初めての自治会で、その後いわき市、福島市や仙台市など県内外で借上げ住宅自治会が発足している。いわば、先鞭をつけたといえよう。
現在は約100世帯約250名の会員で、定例会は毎月1回福島県農業総合センターで開催しており、毎回約6割の世帯が参加している。その定例会では、住民のニーズに応えて、東京電力損害補償相談センターの説明会や町長との懇談会などが開催されており、また季節に応じて盆踊り大会やクリスマス会などお楽しみの行事もある。
双葉町民の憩いの場「せんだん広場」は、平日9時30分~16時30分開館されている。土曜日は隔週のオープンである。安心してご利用いただけるように、自治会役員が交代で2名常駐しており、コーヒーの無料サービスもある。
1日あたりの来所者は平均すると約12名で、親睦と交流を図っている。性別でみると、男性よりも女性の利用者が多い。
「せんだん広場」では、編み物教室、クラフト教室、民謡教室、囲碁・将棋教室などの趣味の集いを各々月2回開催して、継続的な利用促進を図っている。
その他にも、NPO法人の協力を得てタブレット教室、双葉町社会福祉協議会の健康サロン、ふくしま就職応援センター郡山の協力での個別就職相談会も開催している。ときには、地元の小学生が歌声の披露することもあり、地域にも開かれた「広場」として運営されている。
町民のニーズに応えてきた「せんだん広場」の活動実績が双葉町に認められ、モデルケースとして平成26年度の双葉町予算で運営されるようになった。双葉町の仮設住宅巡回バスも「せんだん広場」に回ってくるとのこと。
自治会長の伊藤さんは、「借上げ住宅の住民だけではなく、県中地区のすべての双葉町民が『集う場』、『憩いの場』にしたい」と、これからの抱負を熱く語る。避難先の7人で始めた自治会活動が、借上げ住宅で避難生活をおくる人々の絆を深めるとともに、今や交流の輪を町民全体へと広げようとしている。
市民による活動が社会的認知を得るなかで、行政が提供すべき公益サービスとして取り扱われるようになった。市民ニーズの、「民」から「公」への領域シフトである。それだけに、運営にあたる自治会への期待はますます高まる。