活動報告:組織基盤強化事業

テーマ別研修「若者支援に必要な地域での連携を考える」

■日時:2018年12月6日(木)~7日(金)
■場所:神奈川県・東京都の若者支援団体拠点・日本NPOセンター(東京都千代田区)
■参加者:岩手、宮城、福島の被災地で活動する若者支援のNPO11団体の13名

実施概要

東北の被災地では、震災の影響で家庭環境や経済状況が不安定になった若者が少なくない。

若者たちは「地域復興の担い手」として地域からの期待を受けているが、学校生活、課外活動、就職先、進学先とも選択肢が少なく、不本意な選択を余儀なくされることもある。一方で、若者の困難さは(違いはあるにせよ)全国的な課題でもある。

そこで、今回の研修では、「当事者としての若者の声をキャッチすること」「地域との連携のあり方を具体的に考えること」を目的として、学校・自治体・企業・地域住民とともにユニークな手法で若者支援に取り組む団体への視察や交流会を通して、東北の若者支援NPOが活動のヒントを得、ネットワークを広げる機会とした。

プログラム

1日目(午後)
団体視察 1

訪問先:特定非営利活動法人 パノラマ(神奈川県)

参加者全員でパノラマが運営している「ぴっかりカフェ」に参加した。会場は神奈川県立高校の図書室。参加者は、持参した地元のお菓子を渡しながら、一緒にゲームをするなどして生徒たちと交流した。

終了後は、ボランティアスタッフのふりかえり会議を見学、ボランティアスタッフが生徒一人一人の様子を丁寧に報告する様子をきいたうえで、最後は代表の石井さんへ質疑応答を行った。

若者の就労支援に携わった経験からより予防的な取り組みとしてカフェをはじめたお話、学校・との連携についてのお話、一緒に運営をおこなうボランティアとの関係づくりのお話などをやりとりした。

1日目(夜)
支援団体交流会

首都圏で若者支援に取り組む団体との交流会を実施した。会の冒頭では、福島県で震災前から若者支援に取り組んでいる鈴木綾さんから東北の若者支援の現状と今後について、鈴木さんの視点でお話いただいた。後半は、研修参加者と首都圏の若者支援団体、視察先団体がお互いの取り組みや課題を共有しながら交流する時間とした。

2日目(午前)
団体視察 2

訪問先:
特定非営利活動法人 フェアスタートサポート(神奈川県)
特定非営利活動法人 ちょうふこどもネット(東京都)

参加者の関心にあわせて、2グループにわかれて若者支援団体を訪問した。

特定非営利活動法人 フェアスタートサポート

5団体6名が、団体の拠点である関内オフィスを訪問。代表理事永岡さんから、社会的養護下で育った若者の就労支援事業の取り組み、本人の自己決定を尊重する姿勢やそのための聞き取りについて話を聞き、質疑応答を行った。

特定非営利活動法人 ちょうふこどもネット訪問

6団体6名が、団体が調布市の委託をうけて運営している中高生向け児童館を訪問。代表理事平澤さん、東日本大震災復興支援プロジェクト担当北村さんから施設の紹介と事業について話を聞き、質疑応答を行った。

2日目(午後)
2日間のふりかえり

日本NPOセンター会議室で午前中の視察報告と2日間のまとめを行った。2日間のまとめでは「各自の感想(キーワード)」「自組織の取り組みで自信を持てたこと」「視察先の取り組みから取り入れたいこと」を中心に全員が発表した。

<発表の内容(一部)>

  • 活動にはいろいろなアプローチがある。重層的な支援が大切
  • さまざまな団体と話をして取り組み方は異なっているが、支援の根っこにある考え方は共通していることがわかった
  • 今後は学校・地元企業などとつながりたい
  • 関わる若者ひとりひとりに目を向けていきたい
  • 活動の価値を言語化していきたい

総括コメント

(認定特定非営利活動法人 日本NPOセンター 事務局次長 上田英司)

2日間の総括としてコメントした。

  • 視察先で発見したことをぜひ現場の活動にいかしてほしい
  • 今回の研修に参加した団体同士、視察先と今後も同じ分野で活動する団体としてつながりを持ち続けてほしい

参加者の声

視察先:特定非営利活動法人 パノラマ 印象に残った言葉など
  • サードプレイス(その人の役割が固定されない)な場所を目指す中で、「3がりや(知りたがり・教えたがり・関わりたがり)」に気をつける話を聞き、これまでの自分に反省しつつ、これから参考にしたいと思うお話でした。法人を大きくするよりも、ミッションが共有されている小さな団体が多いことが受益者にとってはいいというお話が印象に残りました。
視察先:特定非営利活動法人 フェアスタートサポート 印象に残った言葉など
  • 就職したらそこで終了するのではなく、自分達で決定し納得して働いてもらうことを主体として動いており感銘を受けた。
視察先:特定非営利活動法人 ちょうふこどもネット 印象に残った言葉など
  • 「”つながってほしい”・”この活動に参加した方が良い”というのは大人のエゴ」という言葉にハッとさせられました。
感想
  • 今回、このような機会をいただき大変ありがとうございました。いろんな方々が様々なところで活動されている現場を視察できとても参考になりました。改めて自分たちの活動の意義や背景なども見つめなおす機会になり、引き続き10年、20年と活動が続いていけられるように頑張っていきたいと思います。
  • 基本的なことに改めて気づかせていただき、ありがとうございました。大きな働きをなす根幹、土台は、やっぱりシンプルで、どれほど生徒たちのことを見ていられるか、まわりの団体、組織とどれだけコミュニケーションをとれるか、だと思いました。
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