活動報告:組織基盤強化事業
テーマ別研修「共感から支援につながる広報を学ぶ」
■日時:2019年2月28日(木)~3月1日(金)
■場所:ホテル紫苑(岩手県盛岡市)
■参加者:岩手、宮城、福島の被災地で活動するNPO24団体の役職員38名
実施概要
東日本大震災発生から約8年、風化が進む面もあるが、復興を通して芽吹いた地域活動や、東北から未来に引き継ぐべき教訓を伝える活動など、目を向け続けるべきものがある。
復興支援の状況としては、被災地特有の課題から、より地域一般の課題に向き合う活動内容に変化をしていることで、「震災復興」や「被災地」の言葉だけでは活動が伝えづらくなってきている。また、支援者が限定的になってきたということも言えるのではないだろうか。
そこで、活動をいかにわかりやすく伝え、広く共感してもらうかなど支援につながる広報の2軸である「伝えたいメッセージはなにか」、「わかりやすく伝わるか」を学んだ。
講師には、「伝えるコツ(*1)」の作成に関わっていたクリエーティブ・ディレクターの友原琢也さん(株式会社バッテリー代表)をお招きして、講義やアドバイスをいただいた。
(*1)伝えるコツとは
市民社会の重要な担い手であるNPOにとって、「コミュニケーション」は組織をまとめ、理解者、協力者を拡げ、より充実した活動としていくための重要なテーマです。「伝えるコツ」はNPOのコミュニケーション力の向上をめざし、電通の社会貢献活動の一環として、NPOとともに取り組んでいるプロジェクトです。この「伝えるコツ」が2016年度の「グッドデザイン・ベスト100」(カテゴリー:地域・コミュニティづくり/社会貢献活動)を受賞。
プログラム
1日目(午後)
講義とワーク「わかりやすく、共感してもらうメッセージづくりについて」
講師:株式会社バッテリー代表/クリエーティブ・ディレクター 友原琢也さん
「伝えるコツ」のテキストを使いながら、『伝えるために大切にしたいこと』を中心に講義とワークを行った
また、各団体が事前提出をしていた「本研修中に改善したい広報物」について、友原さんと田尻(日本NPOセンター常務理事)から一団体ごとに「何が良くて、何が足りないのか、どういう修正をすると良くなるか」などのアドバイスをいただいた。
実際に広報物といってもWEBページ、パンフレット、チラシなど多岐に渡っていたが「わかりやすく伝える」基本は共通しているのと他団体の広報物へのアドバイスを聞く機会が普段はないことから、参加者は一生懸命メモをとっていた。
セルフワーク
翌日に実際に改善作業を行うために、広報物に対し講師からいただいたコメントを活かして、具体的に何をどのように改善するのかをまとめる作業を行った。
2日目
広報物改善作業
前日の講師からのコメントを受けて「より分かりやすく、より伝わる広報物」にするため、団体ごとに改善作業を行った。周囲の団体と相談しあったり、改めて講師にアドバイスを受けるなど参加者それぞれがどうしたらよくなるのかを考えながら作業を行った。
改善広報物プレゼンテーション
広報物のBefore(改善前)とAfter(改善後)を並べて表示しながら、1団体2分でどう改善したかを発表した。そして、参加者が「自団体以外でより良く改善できたもの」を投票し、一番票が多かった団体には「制作応援賞」を日本NPOセンターから贈呈した。また、講師の友原さんが選ぶ「ともはら賞」と日本NPOセンター常務理事の田尻が選ぶ「たじり賞」も贈呈した。
◎制作応援賞:特定非営利活動法人つながりデザインセンター・あすと長町
◎ともはら賞:特定非営利活動法人キッズドア
◎たじり賞:特定非営利活動法人吉里吉里国
広報5箇条の作成
研修を通じて学んだことを忘れないために「自団体に広報5箇条」を作成した。自分たちで考えた5箇条は、全スタッフの見えるところに貼っておく/事務局長の前に貼っておくなどして今後の広報物制作時に心がけるようにするとのことだった。
研修振り返りビデオの共有
フォトグラファーの石原壮一郎さん(特定非営利活動法人明日育 理事)に研修の一環として1泊2日の研修風景を動画にまとめていただいた。研修の最後に動画を上映し、参加者自らで2日間を振り返った。
参加者の声
- 「とても勉強になりました。時間が足りないと思うくらいあっという間でした。欲を言えば、講師の方の講義をもっとたくさん聞きたかったです。」(岩手県から参加)
- 「整理されたテキストを用い、非常にわかりやすい言葉で講義を行ってくださったので、実際に改善作業を行った際に、まだまだではあるが、ポイントを押さえられたのではないかと思いました。」(岩手県から参加)
- 「今回はウェブの改善方法を課題として上げましたが、チラシやパンフレットなど他団体のたくさんの事例(ダメ出し・修正案)を知ることができたので、とても参考になりました。」(宮城県から参加)
- 「広報について集中して話合う時間をえられたことは非常に有難かったです。なかなか団体内でこのような機会を設けられないので。書き物として事務所にもって帰ったので他スタッフから質問されることも多く、内部共有もスムーズでした。」(宮城県から参加)