岩手県陸前高田市および気仙二次医療圏に住む成人女性
被災後、外来診療のみで地域を支えている県立高田病院に常勤産婦人科医はおらず、当団体の産婦人科医が月1回専門外来を行っているに過ぎない。鉄道が壊滅し公共交通機関が著しく障害された当地域では産婦人科診療機関への移動手段を確保しにくい女性、特に中高齢女性の産婦人科医療は危機に瀕している。
当活動はこれに対し産婦人科医を定期的に当法人から派遣し、さらに巡回診療を行うことで、医療機関へのアクセスの困難な女性たちへ従来病院や診療所が行っていた産婦人科プライマリケアを供給し、該当地域における産婦人科医療のボトムアップを図ることを目的とする。
また、巡回診療車を取得することで、単年度ではなく多年度にわたり継続的な医療活動を行っていくことが狙いである。本事業で培う経験が、今後全国の医療過疎地へのモデルとなることへも予測される。
市販されているワンボックスカーをベースとし、産婦人科診療台やポータブル超音波診断装置、採血検査など、産婦人科の一般的な外来のプライマリケアを行う設備と医材・薬剤を備えるものに改造する。
産婦人科初診(問診、内診、超音波検査、血球数検査)と簡単な再来(通院による経過観察と薬剤処方)および女性科(更年期障害など)の初診と再来。
二次診療(精密検査、手術などより高度の医療)を要する患者は隣接する県立大船渡病院(常勤産婦人科医5名)へ紹介する。
市内に産婦人科開業医はいないので彼らまたは保健師・訪問看護師などから産婦人科受診希望者などの情報を入手するなど緊密な連携を保つ。
応援医師、高田病院看護師、高田病院医事職員各1名、またはそれに高田病院薬剤師1名を加えた3〜4名とする。
活動初期には陸前高田市内の診療圏8エリアを対象とするが、エリア分けについては仮設住宅に移住した住民等を考慮し、再調整する。
各エリアを巡回する頻度は隔週ごととする。
「病」のみを診るのではなく「病をもった個人」として患者をとらえ、患者と医師の間に信頼関係を築くことのできる医療人の育成を目指して法人を設立。
2001年より毎年、インド・マザーテレサの施設(死を待つ人の家、ハンセン氏病患者の村)やパキスタン・ペシャワールの病院に医学生や医師・看護師を派遣し、患者を「治療」するのではなく「患者に寄り添う」「ケアする」とはどういう事かをボランティア研修を通じ体験してもらっている。また、研修会・講習会の開催を通じて保健・医療・福祉の整備の向上に努めている。