児童養護施設
親からの適切な保護を受けられないことなどの理由で児童養護施設に入所した子どもが、低線量被曝が続く福島において健康被害の発生の予防・一生涯にわたり健康管理ができる仕組みを構築することを目指しています。このために、被曝状況のモニタリングを行いながら被曝防護を推進しています。
事業内容は、福島県の児童養護施設の子どもは住民票が自宅住所にある事から、県民健康管理調査等が受けられないでいますが、施設と協力して必要な検査を継続的に実施できる活動、また内部被曝の精度の高いモニタリングを継続実施する活動をしています。これらの結果を「健康手帳」に記録して、卒園後も子どもが記録して保管できるようなシステム開発もしています。
児童養護施設
当団体は、福島県内の児童養護施設の子どもたちと職員を対象に、低線量被曝下にいる子どもたちの健康被害を予防し適切な健康管理を行なっている組織である。福島第一原発事故による低線量被曝の人体への影響を分析するには、長期にわたる健康状況を把握が必要である。
助成1年目は、尿中セシウム検査を4つの児童養護施設で職員と子どもを対象に、甲状腺エコー検査は6つの児童養護施設の職員と5つの児童養護施設の子ども(卒園生も一部含む)を対象に実施した。セシウム検出量はその前年に比べて下がっているものの、微量であるが検出が続く子どもがいることが判明している。これらの検査結果は、「健康手帳」に記録している。
今回の継続助成では、「健康状況把握フェーズ2」として、低線量被曝のモニタリングを継続するとともに、電子化システムの拡張版を開発・普及に取り組む。これらの活動を通じて、児童養護施設の子どもと職員の健康状況がきちんと把握され、子どもの包括的な健康管理の記録システムが構築されることを目指す。
子どもの被曝による身体的影響と包括的な健康指標を記録するための健康手帳電子版であるが、児童養護施設の従来の記録と統合させて、互換性を持たせた拡張版のソフトにする。このことにより、職員の入力作業負担が軽減され、低線量被曝の影響分析ために求められるデータの長期保存性が可能となる。
卒園生が将来にわたって健康状況をしっかりと把握できるように、卒園時に電子版でプリントアウトされた「健康手帳」または紙版の「健康手帳」を贈る。
乳幼児の健康管理のためにオムツを着けている幼児に尿中セシウム検査を実施し、その検査結果を健康手帳電子版に記録する。検出下限以上の場合は再検査を実施する。
甲状腺エコー検査の要請がある施設では、在園児全員に対して年1回の検査を継続実施するとともに、原発事故発生時に在園していた既卒園者に対しても継続検査できるように交通費補助を行う。また検査の精度を確保するために、超音波診断装置を保守点検する。
不利益な状況に陥る可能性が高い福島県内の児童養護施設には措置されている子どもを対象に、将来にわたっての健康を保証すること