石巻市住民
東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県石巻市では、発災から2年が経過した今も復興が進まず、大勢の住民が仮設住宅で生活をしている。特に子どもや高齢者、障害者を取り巻く環境は厳しく、自然に触れる機会が失われ、子どもの感性を成長させることが難しくなっている。
動物や自然との触れ合いは、当人の内在ストレスを軽減させたり、あるいは自信を取り戻したりする効果があり、これらを通じて精神的な健康を回復させることを目指す。
仮設住宅において、子ども向けに馬とのふれあいや引き馬会を毎月開催するとともに、乗馬セラピーは牧場で毎月2回開催する。また、夏休みの8月には3泊4日で里山に宿泊しての「乗馬キャンプ」を実施して、馬との触れ合いを深め、農業体験やヨシ船制作体験などを行う。その他にも、海水浴場での馬車体験会や、馬搬作業の研修会も開催する。
北上川河口域は日本有数のヨシ原であり、その豊かで貴重な自然の保護と有効活用を図るために、多彩なプログラムや体験イベントを実施する。
具体的には、ヨシ船制作体験、ヨシ刈体験、ヨシ和紙梳き体験をはじめ、ヨシペン制作&絵手紙作成、ヨシ原撮影会、ヨシ原写真展などである。
また、楢葉を使った楢葉漁体験や河口域水生生物の自然観察会などの自然に親しむ機会も提供する。
宮城県石巻市民
当団体は、自然豊かな石巻地域の復興支援、自然体験による社会教育の推進や、里山空間づくりによる環境保全などに取り組んでいる組織である。助成1年目は、馬によるアニマルセラピーや里山体験活動などを行い、<いのちの再生>として主に子どもたちや障害者が動物や自然に触れ合うなかで心と体の元気を取り戻す機会を数多く提供してきた。参加者は年間延べ約1000名であった。
今回の継続助成では、前年度活動の成果と課題を踏まえて、広く石巻市の被災者を対象に<くらしの再生>として、ヨシ原を中心とするコミュニティの再生と里山空間共有のプロジェクトに取り組む。
地域の人々の心の原風景ともいうべき北上川河口のヨシ原が復活して、こどもたちや障害者を含めて被災地石巻の人々が地元の豊かな自然と文化に接することで、地域住民の復興を目指す。
環境省の「日本の音風景100選」のひとつに選ばれている北上川河口のヨシ原は、震災による地盤沈下などの影響で、現在50%ほどに縮小している。そのヨシ原の再生を目指して、他県の先行事例に学びながらアクションプランの設定に取り組み、情報発信する。また、ヨシ原撮影会・写真展、ヨシ舟づくり、ヨシ刈り体験会などのプログラムを多くの地域住民の参加の下に実施して、コミュニティの再生をはかる。
里山空間整備ワークショップを年数回開催するとともに、古民家を改装しまた利用案内のリーフレットを作成することなどにより、豊かな自然資源を誇る里山空間の活用促進を図る。また、馬との触れあうサマーキャンプを含めて、タケノコ掘り・田植え・山菜採り・稲刈り・芋煮会などの多彩なプログラムを毎月2回程度開催する。
東日本大震災における津波により壊滅的な被害を受け、多くのものを失った宮城県石巻市沿岸部の震災からの復興と、日本の社会問題も合わせて解決し、歴史や文化を尊重した新しい未来を創造する。東北をはじめ日本と世界にある智恵を集め、持続可能な暮らしができるスロー&スモールな村づくりを目指す。また、学ぶことを地域活性化の中心に置いた幸福な村づくり(スロービレッジ)を石巻北上地区に創り上げる。