要支援新生児、乳児、幼児を持つ母親
震災以降、ニーズ調査と物資配送を行う中で新生児、乳児、幼児を抱える母親からこれからの子育てや生活に不安に感じる声を目の当たりにしてきた。特に生活に関わる収入の不安を訴える母親が多く、津波被害により働く場所が失われ、雇用確保が難しい状況である。その中でも子育てをする母親の雇用は「働ける場所が無い」または子どもを預ける施設が被災し「子どもを預ける場所が無く働けない」という状況であることがわかった。被災世帯の中には家族を失い、母親が生計を立てていかなくてはならない世帯や共働きが必要な世帯も存在するため、被災地での雇用確保は極めて重要な課題だと認識している。
このような背景から当団体の活動の中心である気仙沼市の要支援新生児、乳児、幼児を持つ母親を対象に雇用支援を取り組むことにした。対象となる母親を雇用することによって売上の一部を母親の収入にあてる。
子育てをする母親が安心して働ける雇用の場を確保することにより下記のメリットが考えられる。
1. オムツやミルクを購入できなかった母親に安定した収入を確保することが可能になり、支援物資に頼らない自活した生活ができるようになることが期待される。そして気仙沼市で物品を購入できるようになり、地域に還元することができる。
2. 託児機能を併設させ母親が働きやすい環境を提供することで、子どもを預けることができ安心して働くことができる。
3. 働く場が母親同士の交流の場となり、仲間意識が芽生え相互のピアサポートに繋がる。そして震災被害でバラバラになったコミュニティの再構築ができる可能性が高く、核家族化するコミュニティを繋ぐ場として子育てをする母親の孤立化を防ぐことができる。
4. 「働く場=母親同士が何でも話せる場」とすることで母親一人ひとりが能動的に働ける環境となり、商品生産性の向上に繋がる。
このようなメリットを含む雇用支援に取り組むことで気仙沼市そして三陸沿岸地域の暮らしの復興と再生を図るモデルを創出することを目的とする。そして母親が安心して働くことで新生児、乳児、幼児の成長にも反映され、気仙沼を支える元気な子どもたちが一人でも多く育つことも期待され、今後の三陸沿岸地域の生活復興へも繋がると考える。
ベジタブルジャムPeace Jamの製造・販売
新たな雇用の場の創出としてベジタブルジャム【Peace Jam】の製造、販売の取り組みを行っている。商品名を組織名と同じ【Peace Jam】とし、商標登録をおこなった。ベジタブルジャム【Peace Jam】とは、宮城県内の素材を使い、薬膳料理家オオニシ恭子先生のオリジナルマクロビオティックレシピで作った手作りのジャムのことで、子育てする母親に手作りしてもらい、販売を行う。この売上収益の一部を母親の収入にあてる仕組みとなる。1年後の目標は、月産10,000個、340万円の売り上げを見込み、20名の母親の雇用を確保したい。
このジャムの製造は、岩手県一関市千厩地区のキッチンを借りて行っている。気仙沼市内では衛生的な問題でキッチンを借りられる場所がなく、要支援新生児、乳児、幼児と母親をスタッフが送迎して製造を行っている現状である。そのため、今回の助成を受けて気仙沼市内で独自の製造工場の建設を行う。今後災害が起きても津波被害の出ないであろう場所を検討する。また、現在の託児機能の代わりに、母親が交代で要支援新生児、乳児、幼児を世話しており、母親が自分の子を見られる場所で預かっているため、安心してジャム作りを行えている。今後は保育士の雇用も視野にいれ、製造工場建設時には託児所を設ける予定。
【Peace Jam】での雇用創出は気仙沼市そして三陸沿岸地域の暮らしの復興と再生を図るモデルと考える。
気仙沼市内の未就学児を育てている家庭、地域住民
当団体は新生児や乳幼児を育てる母親達に就労の場を提供し、また子どもの健全育成を図る活動を行い、東北沿岸地域の復興の増進を目指している。
発災直後のおむつ・ミルク配布から始まった当団体の活動は、ジャムや裁縫製品の製造・販売を通じて母親達の安定的な収入を生み出し、また託児も併せて行うことで、震災後の生活や育児の悩みを抱えている母親達の交流をも生み出している。
資材の高騰等を理由に遅れていた工房もようやく完成し、今後は安定した製品製造とともに、より多くの地域住民が足を運び、集うことのできる交流拠点としての発展を目指す。
1. 雇用支援事業
工房で働く母親達の収入増を目指し、ジャムや縫製品などの安定生産および店頭販売を行い、販路拡大に取り組む。
2. 工房併設カフェのオープンと広場の整備
子育てコミュニティおよび地域コミュニティの場として、また、親子・親同士・子ども同士の時間を共有する場を構築するために、工房内に授乳室とキッズルームを完備したカフェを開設し、また工房脇の敷地を広場として一般市民に開放する。
3. 親子サロン、地域交流イベントの実施
工房を拠点とした親子サロンを毎月開催し、地域の母親達の《子育ての目印》として育児コミュニティを拡充してゆく。また周辺の自然環境を活用して、地域の子どもからお年寄りまでが参加できるイベント(自然体験や昔遊び、調理実習など)を開催し、世代間の交流を通じて親も子どもも地域で育つ地域共育につなげる。
震災で被災した要支援新生児、乳児、幼児及びその母親を対象とした生活基盤支援を目的とする。
発災後に設立