第1期第3回新規助成

第1期第3回新規助成(2013年4月1日から1年間)

被災者のみを支援する事業から、その周りの人々も含めた地域社会全体の課題に取り組む事業への変化。母と子、震災遺族、不登校・ひきこもりの若者のケア・居場所づくりに取り組む活動を助成しました。

採択事業一覧

団体名 事業名 活動場所 助成額(万円)
 特定非営利活動法人 母と子の虹の架け橋 本格的生活再建に向けて ママの自律・自立支援でママと子の笑顔を広げる「ママハウス」 岩手県釜石市 645
 特定非営利活動法人 仙台グリーフケア研究会 東日本大震災で大切な人を亡くした人々の心のケア活動 宮城県 500
 特定非営利活動法人 ビーンズふくしま 福島で被災した不登校・ひきこもり・ニートを対象とする ケースワーク・関連諸団体とのリエゾン(連携)・心理臨床事業 福島県 福島市 二本松市 500
 一般社団法人 福島県助産師会 助産所における産後母子入所ケア事業 福島県 いわき市 猪苗代町 田島町 700
 特定非営利活動法人 コーヒータイム 避難障がい者及び避難先で生活する障がい者の 生活再建及び日中活動の環境整備 福島県二本松市 500
 協力隊OV有志による震災支援の会(一般社団法人 ワタママスマイル) お年寄りと女性を元気にするワタママスマイルプロジェクト ー石巻渡波地区のお母さんたちの就労の場、人とモノの交流の場づくり事業ー 宮城県 石巻市渡波地区 555
 双葉町県中地区借上げ住宅自治会 双葉町県中地区借上げ住宅住民支援事業 福島県郡山市近郊 550
 特定非営利活動法人 まちづくり ぐるっとおおつち 大槌町の伝統工芸品・特産品の復興と 新たな地域コミュニティの形成 岩手県大槌町 500

概要

助成の趣旨

タケダ・いのちとくらし再生プログラムの一環として、東日本大震災で被災された方々の「いのち」と「くらし」の再生を願い、武田薬品工業株式会社からのご寄付をもとに、被災3県(岩手、宮城、福島県)において活動する民間の支援活動に対して助成を行っています。第1回の助成では2012年4月から13団体(いのちの再生で6件、くらしの再生で7件)、第2回の助成では2012年10月から4団体(いのちの再生で2件、くらしの再生で2件)が活動を行っています。

応募資格

「いのち」と「くらし」の再生に関わる社会的課題を発掘し、その課題を解決するために被災3県において活動する非営利の組織とします。法人格の有無や種類は問いません。ただし、政治的・宗教的な組織は対象としません。

なお医療関係者等の団体による応募については、後述の選考委員会が応募団体を当該団体と判断した場合、寄付金拠出者(武田薬品工業株式会社)に利益をもたらす可能性を排除するために、選考委員会での当該団体を対象とした選定過程において寄付金拠出者は一切関与しません。

さらに、選考委員会が当該団体を助成対象に選考した場合、医薬品業界内ルールおよび寄付金拠出者の制定する規定(透明性ガイドライン)などに照らし、当該団体は当該団体名の公開について寄付金拠出者と同意することをもって、決定とさせていただきます。同意いただけない場合は、選考結果を取り消させていただきますことをご留意ください。

対象経費

応募活動に関わる必要経費(支出項目は特に定めません。運営費や人件費も含むことができます)

助成限度額

助成1件につき500万円〜1,000万円(総額5,000万円を予定)

対象となる活動

いのちの再生
人道支援の視点から、社会的に弱い立場にある被災者(子ども、高齢者、病人、障害者、災害遺児・遺族、経済的困窮者等)が尊厳をもって生きていけるよう、その人権を尊重し、日常生活を支援し、保健・医療・福祉の充実を図る活動。
くらしの再生
復興にむけた基盤整備支援の視点から、被災した人々が生きがいのある暮らしを回復で きるよう、生活の場・仕事の場を再建し、生活基盤を整備する活動。なお、これらの活動に関わる調査研究や政策提言活動も対象とします。

応募期間

2013年4月1日から1年間(毎年度の選考によって必要と認めた場合には最長3年間の継続助成の可能性があります)

選考方法

「いのちとくらし再生委員会」内に設置する選考委員会にて、選考を行い決定します。選考過程で、必要に応じて関連資料を提出して頂いたり、応募団体にインタビュー等を行います。

選考基準

下記の点で高く評価されたものを選考します。

  • ア)社会的意義:本プログラムで定める対象活動としての社会的意義が大きい。
  • イ)現地性:被災者のニーズをよく把握し、地元の団体と連携がとれている。
  • ウ)実現性:実施体制・スケジュール・予算等が適切で活動の実現性が高い。
  • エ)実施能力:応募団体には、応募内容を実施するに十分な組織基盤や活動実績がある。

応募の傾向

応募総数は98件で、前回の96件とほぼ同数。広報媒体は同じところを使ったが、今後はもう少し拡げる必要があるかもしれない。テーマとしては、いのちが41件、くらしが57件となった。地域分布としては、被災地三県(岩手、宮城、福島)からが62件(63%)となり、前回までより現地性が高まったといえる。県別では、宮城県24、福島県25、岩手県13これまでより福島県が増えている。全国を見ると東京都18件(18%)でその他の道府県は数件にとどまった。応募総額は約7億6500万円となり、平均応募額は約780万円となった。

法人の傾向としては、NPO法人が53件(54%)と最も多く、それについで任意団体(30件 31%)、一般社団法人(11件 11%)の順となる。

カテゴリー別応募状況

都道府県別に見た応募状況

(※応募があった都道府県のみ記載)

ブロック 都道府県 件数
北海道 北海道 2
東北 岩手 13
宮城 24
福島 25
関東 茨城 1
埼玉 1
千葉 2
東京 18
神奈川 1
東海 静岡 1
愛知 4
近畿 京都 2
兵庫 1
中国 山口 1
四国 高知 1
九州 福岡 1

被災地からの応募状況

県名 市町村 件数
岩手県(13件) 大船渡市 1
盛岡市 2
釜石市 1
花巻市 1
宮古市 1
一関市 2
陸前高田市 3
大槌町 1
遠野市 1
宮城県(24件) 多賀城市 1
仙台市 9
亘理町 1
石巻市 8
南三陸町 1
富谷町 1
栗原市 1
気仙沼市 1
東松島市 1
福島県(25件) 福島市 7
郡山市 7
いわき市 3
本宮市 1
川内村 1
南相馬市 3
二本松市 1
鏡石町 1
三春町 1

法人格から見た状況

法人格 件数
公益社団法人 2
一般社団法人 11
特定非営利活動法人 51
認定特定非営利活動法人 2
社会福祉法人 1
学校法人 1
任意団体 30

(※第3回新規助成・第1回継続助成を同時選考したため、両方をまとめて掲載しています)

第3回新規・第1回継続の選考を終えて―
被災者や被災地の特定の課題から地域社会全体の課題に

タケダ・いのちとくらし再生プログラム選考委員会委員長
(認定特定非営利活動法人日本NPOセンター顧問)
山岡義典

選考結果の概要

今回は新規については第3回の助成になる。昨年4月から始まった第1回、10月から始まった第2回、そしてこの4月から始まる第3回の助成である。同時に今回は、この3月終了の第1回助成に対する第1回の継続助成も行った。テーマはこれまで同様、いずれも「被災地にNPOの知恵と力を」。<いのちの再生(人道支援)>と<くらしの再生(復興基盤支援)>の2つの部門からなる。

新規・継続を合わせた選考結果を要約すれば、新規では98件の応募の中から8件を、継続では9件の応募の中から7件を選出し、計15件の助成を行うことになった。新規は10倍を超える厳しい倍率になり、応募の多くにお応えできなかったことを申し訳なく思う。継続は着実な成果が期待できそうなものはできるだけ採択する方針で、応募の多くにお応えできたかと思う。助成額にすると新規は4,450万円、継続は3,798万円、合計では8,248万円となる。

<いのち>と<くらし>の別でみると、新規では4件・4件でバランスしているが、継続では2件・6件と<くらし>の比重が大きい。併せると6件・10件。以下、新規と継続について、選考経過と選考結果の特徴を見ておきたい。

新規助成について

新規については昨年11月に公募を開始し、この12月に締め切った。その結果98件の応募をいただき、まず日本NPOセンターの担当スタッフ4名による予備選考を行った。各自がすべての応募案件を読み込み、選考基準に照らしてABC評価を行い、その集計によって上位45件を選考委員会にあげることにした。

それらの応募内容を選考委員は事前に精査し、4~5件の推薦と2件の推薦を選出した上で2月13日の選考委員会に臨んだ。委員会では、推薦のあったプロジェクトの意義や実現性を1件1件審議し、助成候補を絞っていった。各委員の評価の意図や考え方を報告しあい、個別の案件ごとに論議しあったので、必ずしも単純に推薦の多いものから採択したということにはなっていない。意見の分かれたものについては、最終的には再投票して決める場面もあった。

その結果をもとに、事務局スタッフは助成候補や補欠になった応募者と連絡を取り、2名1組で現地インタビューに向かい、応募計画の実現性や課題、実施体制等の確認を行った。その結果は2月27日に委員長に報告され、委員長決裁として助成先と助成額を決定した。

助成プロジェクトの概要についてみると、<いのち>では、1. 母と子、2. 遺族、3. 不登校・引きこもり・ニート、4. 産後の母子、に関するケアあるいは居場所づくり4件が対象となった。このうち1と2は日本NPOセンターの現地NPO応援基金による1年間の組織基盤強化助成を受けた団体で、その一定の成果が今回の助成に結びついたと言えるかもしれない。<くらし>に関しては、1. 借り上げ住宅住民支援、2. 伝統工芸品等の復興による新たなコミュニティ形成、3. 母親たちの就労の場づくり、4. 障害者の生活再建と日中活動支援、の4件が対象となった。

これらのうち<いのち>の3と4、<くらし>の1と4は、福島県において故郷を離れざるをえなかった原発避難者を支援するものである。いつ帰郷できるか見通しのたたない避難先で、地域の人々とどのようなコミュニティをつくっていくのか、これらの助成プロジェクトは、このような視点からもその成果に期待したい。

継続助成について

継続助成は、このプログラムでは初めての経験である。新規と同様に書面審査のみとするか、これまでの報告も踏まえた応募内容のプレゼンテーションを行うべきか、迷った挙句に後者で進めることになった。選考委員にも応募者にも、負担の多い方法である。

選考委員には事前に応募書類を読んでおいてもらい、2月6日に仙台まで足を運んでいただいた。9件の応募団体にも時間を定めて仙台まできていただき、プレゼンをしていただくとともに活発な質疑に応答いただいた。厳しい質問も多く、大変緊張した経験ではなかったかと心苦しく思う。プレゼンを終えて選考委員はABC評価を行い、それをもとに審議に入った。それぞれについて熱い議論の末、発展の可能性のあるものはできるだけという方針で9件中7件を継続助成することとし、2月13日の新規の選考時に正式に助成対象を決定した。その後、事務局で必要な調査と調整を行い、2月27日の委員長決裁で助成額を決定した。

助成プロジェクトの概要を見ると、<いのち>については、1. 福島県南相馬市から宮城県名取市に拠点を移して発達障害児や家族を継続支援するもの、2. 岩手県山田町の子どもたちに学習支援等を行うものの2件。これに対して<くらし>は、1. 被災者の就労先開拓と就労支援を行うもの、2. 被災した古建築を保存修復して復興拠点に活用するもの、3. 森林活用によって雇用拡大を目指すもの、4. 不登校や引きこもりの人たちによる僻地の被災者の日常生活を支援するもの、5.アートとデザインの導入で障害者の仕事を開発するものの5件に及ぶ。これらはいずれも、これまでの助成で着実な実績をあげつつあると認められ、さらなる助成で一層の成果が期待されるものである。単なる活動の延長というより、次のステップへの展開といえる。

なお応募のうち2件は採択にならなかった。その1件は、事柄としては重要であるもののNPOによる支援活動というよりも学会としての本来活動という性格が強いためであり、他の1件は、今進めている助成プロジェクトを3月末までに完了することには無理があると判断したからである。計画延長して完了すれば、次回に応募のチャンスはある。

新たな特徴的な傾向

被災者や被災地の状況は刻々と変化しつつある。その傾向は、半年毎の応募の変化にもよく読み取れる。特に今回の応募の特徴としては、新規についても継続についても、直接的に被災者のみを支援するプロジェクトから、その周りの人々も含めた地域社会全体の課題に取り組むプロジェクトに移ってきたことがあげられる。どこまでが被災者支援なのか、分かりにくくなってきたということでもある。発災後2年を経た現在、その取り組みが地域社会全体へと広がる傾向は、当然とも言えよう。被災者が仮設住宅から復興住宅や自前の住宅へと移りはじめる中で、被災者特有の課題が被災者を含む地域社会全体の課題へと推移するのは、むしろ望ましいことでもある。このような動向を見届けた包括的な政策や取り組みこそが、重視されるべき時期になったとも言える。NPOにとっては、特別の時期の特別の活動から、通常の時期の通常の活動への移行でもある。

今回助成対象となったプロジェクトの多くも、その受益者・受援者を直接的な被災者に限られない。むしろその周辺の人々も含むことによって、よりよい成果が得られるのではないだろうか。プロジェクトの成功の鍵は、被災者を超えた視点をどうもつかにかかっているのかもしれない。

しかしその場合、被災者の支援のために寄付された財源で、そのどこまでを助成すべきかには議論がある。今回の助成額の決定にあたっては、その点で悩むことが多かった。助成金は被災者に関わる部分に重点配分し、それ以外の部分についてはできるだけ自主的に取り組んでいただくよう、無理をお願いしたものも多い。今後の助成では、その点をどう考えるのか、課題として検討しておかなければいけない。

第3回新規助成 選考委員一覧

いのちの再生:人道支援

特定非営利活動法人 母と子の虹の架け橋

応募団体は、震災後の被災妊婦をケアする活動から始まり、被災者の仮設住宅での生活が始まった後は、赤ちゃんを育てる母親を支えるために、岩手県釜石市の仮設団地の一室で「ママハウス」を開設した。子育て中の母親は移動の制限もあり孤立化しやすいので、このママハウスでは、「しゃべり場」を通じたピアカウンセリングや就労支援を意識した講座などを実施してきた。「ママ友」ができ元気に子育てをするための貴重な居場所としての役割を果たし、2011年9月から1年5か月の間に延べ4,100人が利用した。

今回の助成では、ママハウスの民間の立場を意識した運営を継続することにしている。地域に根ざした活動として発展するように期待したい。

 団体概要・事業詳細:特定非営利活動法人 母と子の虹の架け橋

特定非営利活動法人 仙台グリーフケア研究会

応募団体は、仙台市において震災前から自死遺族の方を対象にしたグリーフ(悲嘆)ケアに取り組んできた。津波により多くの方が亡くなり、大切な人を失ったが、そのご遺族の行き場の無い悲しみを和らげるために支援を開始し、遺族同士で悲しみを分かち合う「わかちあいの会」を仙台市と被災被害の大きい沿岸地域で定期的に実施してきた。「わかちあいの会」の場では、誰かが答えを提供するのではなく、ご遺族の一人ひとりが自分の心にむきあうことを促すが、3年目をむかえる今も参加者は絶えない。

今回の助成では、参加者の心が動く時までその悲しみに寄り添い続けていく心のケア活動を、継続かつ安定して実施する。組織の土台つくりに期待して採択に至った。

 団体概要・事業詳細:特定非営利活動法人 仙台グリーフケア研究会

特定非営利活動法人 ビーンズふくしま

応募団体は、不登校の子どもたちやひきこもりの青少年のために自分らしく生きるためのさまざまな支援活動を福島県で行ってきた。その主な活動としては、不登校の子どもたちやひきこもりの青少年に対する「フリースクール」事業や「こころの相談室」事業などがある。被災地支援としては、県内に避難した子ども・若者やその家族を対象に、臨床心理士による相談業務、子どもや若者の学習・就労支援、地域の支援機関の紹介・リエゾン(連携)活動がある。また原発避難区域から仮設住宅に入居している被災者向けには、利用料無料の「こころの相談室」も開設している。

今回の助成では、大震災と原発事故により被災した複合的な困難を抱える子ども・若者が生き生きと社会参加できるように、ケースワーカーなどの専門スタッフによる、アウトリーチ型の訪問サポートをはじめとするきめ細やかな支援活動を展開する。ケースワーカーなど専門スタッフが、さまざまな関連機関と連携して、支援を必要とする子ども・若者に温かい支援の手を差しのべ、複合的な困難を一つひとつ解きほぐしていくことを期待したい。

 団体概要・事業詳細:特定非営利活動法人 ビーンズふくしま

一般社団法人 福島県助産師会

母子とその家族のニーズに応える助産および母子保健領域の活動をしている応募団体は、2011年9月に(社)日本助産師会福島県支部から組織変更して設立された。東日本大震災と福島原発事故直後から、福島県内の避難所や仮設住宅で出産・育児をしている母子の訪問支援を始めたが、2011年7月には出産後の支援が必要な母子に対してすこしでも安心して休める場を提供するために、放射線量が比較的少ない会津若松市に産後ケア施設「会津助産師の家“おひさま”」を開設した。以降、“おひさま”と連携先である県内2か所の助産所で産後母子入所ケア事業を実施し、これまでの累計利用者は、63組延べ664日間(2013年2月末現在)に及んでいる。

今回の助成では、この“おひさま”を運営し、産後母子入所ケアを継続的に行う。避難生活や放射能不安によるストレスのなかで健やかに子どもを育てるには、なによりもまず母親へのケアが必要である。この産後母子入所ケアは相当のコストを要する事業だが、適正な自己負担の努力のもとに継続的に取り組まれることを望みたい。

 団体概要・事業詳細:一般社団法人 福島県助産師会

くらしの再生:復興基盤整備

特定非営利活動法人 コーヒータイム

応募団体は、障害者に対して、作業・生活訓練を通じての社会参加・社会復帰に関する事業を福島県浪江町で行ってきた。原発事故により活動を一時休止していたが、2011年10月に二本松市に移転し、同市の市民交流センター1Fで就労支援のための喫茶店「コーヒータイム」を再開している。浪江町からの避難者7名を含めて通所者数は2013年2月現在12名。就労継続支援(B型)事業所として、喫茶店経営のほか近くに作業所を確保している。

今回の助成事業は、福島第一原発の隣接自治体から移転してきた障害者分野のNPO法人が避難先の社会に溶け込み定着していくための基盤整備である。具体的には、喫茶店経営の諸機器更新や、福島市・郡山市などからの遠距離通所者の移動サービス支援を行う。移転先での経営を安定させて、しっかりと根付いていくことを期待したい。

 団体概要・事業詳細:特定非営利活動法人 コーヒータイム

協力隊OV有志による震災支援の会

応募団体は青年海外協力隊に参加したメンバーによる有志の会である。震災直後、最も早く始めた宮城県石巻市渡波地区での炊き出しの活動を皮きりに、行政による支援が届かない状態の中での国際協力の現場の経験を活かした避難所内の運営支援や、「Cash for Work(被災者の有償ボランティア制度)」を導入した配食活動を行った。避難所が閉所した後も、仮設住宅で生活する被災者などを対象に、お弁当の配食事業「ワタママ食堂」を開始、毎日200食を超える配食活動として順調にすべりだしたが、拠点の問題で活動休止を余儀なくされた。

そこで今回の助成により新しい拠点を開設し、配食事業の再開によって女性たちの就労支援をする。震災支援の会はいつかは去ることを前提に、地元スタッフへの今後の活動の土台をつくり、確かな事業の移譲に結びつくことを期待している。

 団体概要・事業詳細:協力隊OV有志による震災支援の会(一般社団法人 ワタママスマイル)

双葉町県中地区借上げ住宅自治会

応募団体は、福島県郡山市など県中地区の借上げ住宅に居住する双葉町の人たちの、約100世帯250名規模の自治会組織である。2012年1月の発足以降、毎月定例会を開催し、住民への情報提供だけでなく避難生活のための健康講座や懇親パーティなどのお楽しみ企画もあって、参加者は毎回100名を超えている。仮設住宅と比較して行政サービスがなにかと行き届かない借上げ住宅だけに、その自治会活動は住民のニーズに応えるものとして、県内他地域にも広がりを見せている。

今回の助成事業の柱は、仮設住宅のような「集会場」のない、借上げ住宅の住民同士が日頃集える場、話し合える場としての「絆カフェ」を開設・運営するものである。そこでは、気軽にお茶を飲んだり、手芸など趣味の集いを開いて、お互いの懇親を深め、住民の孤立防止を図る。多様なニーズに応える活動が展開されることを期待したい。

 団体概要・事業詳細:双葉町県中地区借上げ住宅自治会

特定非営利活動法人 まちづくり ぐるっとおおつち

応募団体は2001年より岩手県大槌町の地域づくりに取り組んできた。被災後は「避難者生活支援事業」として仮設住宅の見回りやサロンを実施し、復興にむけて大槌のNPOとして幅広い活動を続けてきた。

今回の助成では、大槌の伝統品や地元の野菜やお菓子、町の人びとの就労につながる品物を取り扱っていく「大槌物産館」の立ち上げをめざす。被災前は観光などの通過地点だったが、「物産館」を立ち上げることにより人が足をとめるきっかけをつくることをねらいとしている。時が経つにつれ「復興支援」というだけでは売り上げが必ずしも安定しない中、物産館づくりを通じていかに町の外からの視点を含む物産の魅力を見出していくかが鍵となる。

 団体概要・事業詳細:特定非営利活動法人 まちづくり ぐるっとおおつち