第2期第3回継続助成(2019年1月1日〜2019年12月31日)
第2期継続助成も3回目となり、応募資格がある4団体のうち3団体が応募しました。審査の結果、第2期助成テーマ別では、「連携・協働」2団体、「住民のエンパワメント」1団体が事業を展開していきます。
採択事業一覧
団体名 | 事業名 | 活動場所 | 助成額(万円) |
---|---|---|---|
東北・広域森林マネジメント機構 | 被災3県森林資源活用による地域発展プロジェクト | 岩手県、宮城県、福島県 | 400 |
一般社団法人 さとうみファーム | 羊がつなぐ被災地の輪 ~農福連携~ | 岩手県・宮城県・福島県・関東 | 400 |
一般社団法人 ワタママスマイル | 持続的な『地域子ども食堂』の運営のための担い手とネットワークづくり事業 | 宮城県石巻市東部地区(渡波地区・鹿妻地区・湊地区) | 400 |
概要
第2期第3回継続助成の選考を終えて
選考委員長 大島 誠
タケダ・いのちとくらし再生プログラム今期3回目の継続助成選考を行いました。継続助成(事業期間:2018年1月〜2018年12月)4団体のうち3団体から応募がありました。
今回は、第2期第1回新規助成(2017年1月~12月)からの3年目(最終年度)助成となり、今までの事業成果、課題、応募事業概要を踏まえたプレゼンテーションを各団体にしていただきました。選考委員からは、3年間の助成期間終了後を見据えての厳しい質問が投げかけられました。一方で、より事業成果があがるようなアドバイスもたくさんあり、選考時間がオーバーすることもありました。
各団体のプレゼンテーション及び質疑応答終了後、選考委員により4つの評価基準(実績、発展・展開性、実現性、予算の妥当性)および「A. 連携・協働」に応募された事業については、連携・協働の観点を加えた5つの評価基準で審議しました。加えて、継続助成をすることで、事業を発展させ地域の復興につながるか、助成終了後も持続的な活動につながる計画になっているかなども含め総合的な評価を行いました。最終結果としては、応募のあった3団体のうち3団体を採択し、助成総額は1,200万円となりました。
採択された3団体は、2年間の助成期間中に着実に実績を積み重ねてきました。今回の助成では、課題先進地といわれる東日本大震災被災地としての発信を強化し、災害復興の先進事例になるよう、さらに努力を重ねて実績を残していただきたいと思います。
最後に、本プログラムは、「いのち」と「くらし」の再生を願い、社会的に弱い立場にある被災者が尊厳をもって生活できるような取り組みになることを願っています。また、第2期では、被災地外からの支援が減るなか、地域における復興の先を見据えた「連携・協働」や「住民のエンパワメント」の推進をサポートしています。これらが持続継続可能になるように、NPOの組織基盤を強化するための支援を長年実施してきた当センターが事務局を担い、単に資金助成を行うだけでなく、事業実施団体への伴走支援を丁寧に行い、引き続き東北3県の被災地復興のために活動を続ける現地NPOと共に歩んでいきたいと思っています。
A. 連携・協働
東北・広域森林マネジメント機構
被災3県森林資源活用による地域発展プロジェクト
本団体は、森林が最大の地域資源である被災3県の山間地において、自伐型林業を普及させることで、雇用創出や地域活性化、そして森林資源の持続可能な活用につなげようと活動を展開している。これまで2年間の助成を通じて、新規従事者は増えており、東北の自伐型林業のモデルとなり得る5つのグループも立ち上がるなど、着実な広がりを見せている。また、自治体や大規模森林所有者も巻き込みながら、さらなる普及体制もできてきている。
3年目となる本助成では、新たに福島の団体とも連携し、機構として整備したモデル林で継続的な集合研修を実施しながら、東北地域の自伐型林業家のコミュニティを形成することに力を入れる。あわせて、自伐型林業にあった流通・販売ルートの調査・開拓に挑戦する。エネルギーの地産地消や持続可能な調達への関心の高まりを踏まえ、木材や紙の原産地から商品までの情報を明確にできるという優位性を活かして、新たな市場づくりに取り組むことを期待したい。また、環境保全型の災害に強い山づくりについて、被災地ならではの情報発信を強化して欲しい。
一般社団法人 さとうみファーム
羊がつなぐ被災地の輪~農福連携~
本団体は、東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県南三陸町の農林水産業の発展と雇用促進等をめざし、「羊」のスキル・地域・資源を活用した事業を推進してきた。今回は、前期で構築してきた連携組織「東北ひつじ工房」の参加団体間の互いの役割を明確化し、生産者・利用者・福祉関連に重点をおいた取り組みを行おうというものである。具体的には、羊毛や皮革を活用した商品開発や販路拡大、ブランドの確立を進め、その過程に福祉作業所などを参画させることで、農福連携事業としての持続可能な事業展開をめざすものである。いまだ復興半ばの被災地において、今こそ、さらなる地域活性化や雇用促進に向けた取り組みが求められている中、今回の応募は、市民発のチャレンジとして大いに期待するところである。しかし、連携という言葉にやや踊らされている感があり、今一度、被災地発の奮闘が全国各地に鳴り響くよう、買い手や支援者を納得させるストーリーの創出に尽力いただきたい。
B. 住民のエンパワメント
一般社団法人 ワタママスマイル
持続的な『地域子ども食堂』の運営のための担い手とネットワークづくり事業
本団体は、宮城県石巻市において「ワタママ食堂」を開設し、被災した女性を雇用しながら、仮設住宅や復興住宅等の高齢者などに「食」を通じた見守り支援を実施してきた。
第2期の助成1・2年目は、「食」という強みを活かして地域子ども食堂を開催。課題を抱えた子どもたちを地域の福祉につなげ、またボランティアによる学習支援などを行った。石巻市内にある子ども食堂のネットワークも立ち上げ、地域による子どもたちの課題解決への機運を高めている。
3年目となる本助成では、持続的な子ども食堂運営を目指して、ボランティアなどが自主運営する「担い手」と、それを「支える仕組み」をつくる。「担い手」づくりにあたっては、活動に関わる子どもと大人を守るガイドライン/方針策定にも取り組みたい。また、食堂の運営に子どもの意見を取り入れるなど、子どもの参画を促す取り組みにも期待したい。